最終章

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「とりあえず・・・チケット買いに行こ。」 オレは、気を取り直すと、旅行会社に行くべく研究棟を後にした。 広大なキャンパスの敷地内には、数多くのアート作品が点在している。 エントランスの並木道に向かって歩いて行くと、誰の趣味なのか図書館の脇に小さな石灯篭(いしどうろう)が置いてあって・・・ 初めてココに来た時には、大学の雰囲気と情緒ある和のテイストがどうもマッチしていないような気がしたけど、今ではすっかり周りの景色に溶け込んで見える。 きっと、こちらの学生にしてみれば、何て事のない石の塊なんだろうけど・・・ そんな事を思いながらエントランスに向かって歩いていると・・・石灯篭の前に佇む女性の後ろ姿が見えた。 淡い水色のワンピース・・・ 背中まで伸びた長い髪・・・ でも、その後ろ姿には、たしかに見覚えがあって・・・ 彼女に近づいた瞬間・・・心臓が止まりそうになった。
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