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そして、また・・・
重なり合ったオレたちの影の周りを、色なき風が駆け抜けて行く・・・
「ねえ、千里・・・」
「・・・ん?」
「オレとした約束・・・覚えてる?」
「・・・え?」
オレの言葉に、次第に赤くなって行く彼女の顔。
それは、彼女がオレとの約束を覚えている証でもあって・・・
「じゃあ、とりあえず・・・オレの部屋に来てみようか。」
「オ、オレの・・・部屋・・・?」
「もちろん・・・お泊りセット持参で、ね?」
その瞬間・・・彼女の顔は、完全に沸騰した。
さて、その心は・・・?
「あ、あの・・・その、つまりあの・・・」
「・・・ん?」
「・・・はい。」
「・・・フッ。」
「・・・フフフッ。」
どうやら、2人とも・・・
照れ隠しに笑う癖が、まだ直っていないらしい。
・・・フフッ。
どちらからともなく触れ合った、2つの唇・・・
その柔らかい感触とともに、願いが叶ったその時を互いに分かち合いながら・・・
『ミサンガのジンクス』
オレの脳裏には、ずっと・・・そんな言葉が浮かんでいた。
~ fin. ~
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