Quadrans Muralis of Meteor

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太平洋を望む、小さな田舎町。 それから十年の時が立ち、湊は18の年を迎えた。 『………ガガガ………星座であ………流星…………でしょ……夜は…………避け…………………見てくださ…………』 高校生、卒業まで後少し。 そして今日は、最後の年を明け、1月の3日を迎える。 大阪への旅立ちが決まっている湊にとって、仲の良い友達といれる数少ない日。 湊もそれを分かっていながら、暇をもて余していた。年始めはみんな居ないのだ。 すこし外の空気でも吸いに行こう。 湊はそう思い外に出る。 「じゃあ行ってきます。」 こんなときも仕事で居ない母と亡くなった父の代わりに玄関に挨拶をし、家を飛び出る。 外はお昼なのにまだ肌寒い。 しばらくすると、仲の良い友達と出会った。少し話をしよう。 「湊が居なくなっちゃうと、やっぱ寂しいよね。絶対に。」 ボクの大親友である優真が言う。 「なんやかんやいって、ボクも優真もそのうちその生活に慣れると思うよ。」 ボクはよく冷めていると仲間に言われる。 そんなこと……って思うけど事実だから仕方がない。 「あ、そうだ! 今日さ、流星群があるんだよ?こんなこと滅多にないし、最後の思い出作りに一緒に見に行かない? 天奏と柊も誘ってさ!」 優真が言う。そういえば家でテレビをみたときニュースでそんなこと言ってたな。……でも……。 「却下。いいよ、そんなもの。ボクには似合わない。みんなで観てきなよ。きっと楽しいよ。」 ボクは優真の言葉を否定する。そういうのは苦手だ。 「……絶対言うと思った。 まあ湊の気が乗らないのならしょうがないや。また今度の機会にするよ。」 こうやってすぐに引いてくれる、そんな優真が好きだ。 「じゃあまたね~。」 30分程話して、優真と別れる。 (どこに行こうかな……。) 田舎ってこういうときに困っちゃう。 (そうだ、あの場所に行こう。) 湊はあの丘へ行く。昔の思い出の場所へと。
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