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いつもの坂を登りボクのお気に入りの場所につく。
「やっぱり風が気持ちいいな。」
湊は独り言を呟く。
今日は一人残された母も仕事で帰ってこないし、ずっとここにいようかな。
そう考えると、さっきの話を思い出してしまった。
[流星群があるんだって]
気になってネットで調べてみる。
[今日は、三大流星群の一つしぶんぎ座流星群が見頃を迎える。月明かりを避けて見ると良くみえるだろう。]
しぶんぎ座……聞いたことないな。
気になって調べてみれば、国際機関によって星座の数が確定されたとき、88の星座に入れなかったらしい。
昔は存在したのに、今は存在しない。
そう、まるでキミみたいに。
キミはあの日から1年後、誰にも言わずにこの場所を去った。
家からなにもかもが無くなっていて、呆然とした。
しぶんぎ座もこんな思いだったのかなって考えてしまう。
「まあ考えてもわからないし。見れたらいいけどな。」
湊は穏やかな風にさらされて静かに目を閉じた。
そのとき、青空に一筋、一つの流星が光った。
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はっ、と気付き時間を見る。
20:45
携帯にはそう書かれていた。
寝過ぎちゃったな、そう思った。
それにしても冬にしては暖かい心地だな。
なんて思ったら体の上からコートのようなものが落ちてくる。
「家に居ないから、どうせおまえのことだからここにいると思ったよ。」
優真が来ていた。
「なんだ、全部お見通しか。」
「そりゃあな、だって親友だろ?」
それはちょっと違うな、大親友。
「まあそんなことより、せっかくだから二人で星の観賞でもしようぜ。」
まあそれもありか、せっかくだし観てから帰ろう。
予想しなかった流星の観賞というイベントに少し心を奪われたのは優真でも内緒にしたい。
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