とあるスーパーにて

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 朱美は三つ年上の夫と、四才になる娘の結愛と三人で暮らしている。夫の稼ぎは世間一般で見れば良い方で、いいマンションで暮らすことができている。  朱美も、結婚してから今も仕事は続けている。結愛を妊娠したとき、仕事を辞めるかどうか少し迷ったけれど、やはり辞めなくてよかったと強く思う。  夫は優しいし娘はかわいいが、やはり外に出て、家族以外の誰かに必要とされたいものなのだ。家庭にしか居場所がないなんて、そんなこと、考えただけで耐えられない。  家を掃除したり、夫のシャツにアイロンをかけたり、娘にハンバーグを作ってやることよりも大事なことが、今の朱美にはあった。
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