第1章 奪う女

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   体に力が入らないでしょう? 「はい、お茶」  持参した水筒のお茶を、紙コップに注ぎ渡す。  最後の花道だもの。ドラマのシナリオに沿って殺してあげる。  ただ、ラストのシナリオだけは変えさせて貰ったわ。  ドラマでは未遂だったけど、演じる私は失敗しない。 「茜ってほんと、お人好しの世話焼きね」  紙コップのお茶を一口飲んで言った。  私はそれを見てにっこり笑う。  確かに世話焼きかもしれない。けど、あんたほどじゃないよ。 「だって、友達じゃない」  友達ごっこはもうおしまい。  ――あんたなんか、大嫌い。  
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