第1章 奪う女

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   分かってるわ。でもね、その名前を聞く度に、もやもやとした気持ちが沸き上がるの。  ねぇ、律さん……。  あの子の話は止して。私の中で、どす黒い何かが成長していくの。  私の気持ち、知ってるくせに。  貴方との大切なメールだけど、彼女の名前なんて残しておきたくない。  当たり障りのない返事だけを返して、そっとメールを消去した。  どさり。ソファに一人腰かけて、彼への想いを募らせる。  それとほとんど同時に、また、スマホが鳴った。  唯花からだった。  今度、ドラマのクランクアップと二時間ドラマの決定祝いにバーベキューをしようって。 「そうなんだ!」  知ってるわ。さっき律さんに聞いたもの。  
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