第1章 奪う女

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   「茜も来るよね!?」スマホの向こうで、彼女は楽しそうに訊いてきた。 「勿論、行くに決まってるでしょ」  また、幸せ自慢?  私の中で沸き上がるどす黒い感情は、もう、抑えきれなくなっていた。  あんたなんか、いなくなればいい。 「楽しみだね!」  あの女に本心を覗かれたくなくて、スマホ片手に、貼りつけた笑顔で。  電話を終えて、ひとつ溜め息をつく。  その時ふと目に留まった、ドラマ最終話の台本。  テーブルの上に置かれたそれを手に取り、ぱらぱらと捲る。    
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