第1章 奪う女

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   おだんご頭の唯花が両手を広げ、こっちに向かって駆けて来る。  ぎりぎりのところで立ち止まった彼女から、ハグの洗礼。 「ごめん、遅れちゃって」  ああ、ウザい。彼の前だからって、馴れ馴れしくひっつかないで。  河原なのにそんなヒールなんか履いて……。  そんなに好く見て貰いたいわけ?  本当、いつからかなぁ?  あんたの、そのいい子ぶった笑顔が癪に障るようになったの。  中学の頃、一緒に女優になろうねって話した。  なんでも相談し合える仲だった。勿論、恋バナだって。  ――けど、  
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