序章 赤から黒へ

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序章 赤から黒へ

 その光景を忘れることはないだろう。  昼間まで平穏だった村。  何事もなく、穏やかでみんなの笑顔があふれるところだった。  お父さんは毎日畑に出かけ、それを見送り、時には手伝う日々。  お母さんが開いている診療所はいつも賑わっていた。  青空学校は楽しかった。  特に仲にいい、サーシャとは毎日のように遊んでいた。  でも……  それも昔のこと。  全部、全部……  暗い闇に落ちた。  闇に広がる赤に落ちていった。  赤はみんなを飲み込んだ。  赤の中からなにかが近づいてきた。  私は叫んだんだとおもう。  何を叫んだかは覚えてない。  でも、次にはすべてが闇に落ちていた。  私はそれから光をみない。
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