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楽しそうに笑っていた。
死が迫ってきているというのに、本当に楽しそうに童女のように彼女は笑っていた。
風を切り裂くような音が近くに炸裂し、爆発していく。
たまに石つぶてが体を襲っているが、少し痛いだけ……
楽しい。
気分の高揚が、さらに彼女の知覚を広げていく。
血の臭いが充満する、ここはまさに戦場……
「あはっ、あははははははっ!」
その様子に、熊男が顔を大きくしかめていた。
「いかれやろうが……なんなんだてめぇ」
「あはっ、何言ってんのさ。こんな世界なんだよ? 正常なのが異常なのさ。あんたも、あたしも、ベルヌも普通じゃないから、ここにいるんだ! だったら、楽しもうよ。今このときが喜劇の舞台さ!」
無垢な笑みだ。
純粋に彼女は今を楽しんでいた。
暗闇で生きる彼女にとって、生を実感出来る瞬間は何事に代えがたい快楽だった。
次の瞬間……
甲高い金属音とともに、熊男の体がよろめいた。
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