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「な、なんと!?」
信じられないというように、彼は青ざめていた。
夢なら冷めてほしい、悪夢なら懺悔してでも悔い改める。
だから、この場から……
このいかれた女から……
「そりゃ無理だよ」
モーニングスターのチェーンを切断したサーシャが目の前にいた。
「おじさんの業は私が持って行ってあげる。だから、安心して逝ってね」
黒髪の少女。
それが死に神に見える。
ゆっくりと死が近づいてきていた。
小柄な少女だ。
普通よりも少し痩せているように見える。
白い肌は所々傷跡があった。決して、美しいと言えるような肌ではない。
そして、彼を絶望……いや恐怖にたたき落としたのは、彼女の少し長い前髪の奥にあるえぐられた眼窩だった。
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