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しかし、そんなもの、ここで明かせるわけがない!
「例えばどんな内容の仕事があるんだ?」
彼は苛立ち半分、諦め半分のため息が重々しく吐き出される。
「そうですね……こんなのはどうです?」
そう彼女は受付の中から一枚の紙をとりだして彼に差し出した。
それを一瞥し彼は短く、もういい……それだけ言うと踵を返してしまった。
その姿を見て、周りの者たちが忍び笑いをしていた。
陰湿なところだ……
つくづく反吐が出る。
内心罵りながら、彼は周囲に目をやった。
明らかに見覚えのない顔の登場に無関心を装いながらも、皆が彼を注目していた。
「……」
長居は無用かと、彼は出口へと足を向けようとした。
……ッ!?
視界の隅に何かを捉えた。
彼は周囲に気取られないようにその周辺を視界に収めた。
「まさか」
はじかれたように彼は動きだした。
屈強な戦士たちの間をすり抜け、部屋の一番隅へと行く。
「おまえは……」
そこは奇妙な場所だった。
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