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部屋としては問題ない。そういう問題ではなく、ここだけ人がいないのだ。古強者たちでごった返しているこの部屋のなかでだ……
ここにいるのはたった一人だけ……
それも笑っている娘が椅子に腰掛けているだけだった。
だが、誰も彼女に近づこうとはしない。
まるで彼女がそこに存在しないかのように振る舞っている。
そんな彼女に彼は近づいていく。
「……ちょっといいかい?」
「はい」
彼の呼びかけに反応した。
それだけで、周りの空気が少し変わる。
「あれ? 君は……」
彼女は不思議そうに顔を上げた。
全体的に短めの黒髪。だが、一部だけは異様に長い……
すっぽりと覆うように目元が黒髪で隠れている。さらに鼻先に見えるそれと、微かに間からのぞかせるものはピエロの仮面か?
口元だけが見え、楽しそうな笑みだけが作られていた。
「探したぞ、サーシャ」
彼は目標を見つけた。
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