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ベルヌの作戦はまどろっこしい。
それに付き合う気はない。
確かに確認してから動いたほうが、こちら側の消耗する確率は減らせるかもしれない。
でも、今回限りでしか組まない奴らを心配するほど、私はお人好しじゃない。
こんな仕事は危険がつきもの。
高価な閃光弾を使うのも勿体ない。
もっとも、私に閃光弾なんて効かない。
効くわけがない。
だから、こんな退屈な場所からとっとと帰るために私は動く。
ウォーラとかいう、実践慣れしてなさそうな奴が弾を投げるのと同時に崖を下った。
壁を疾走するように一気に加速。
頬をなでる風が気持ちいい。
気流が私の聴覚を刺激し、狂わせていく。
飛んでいる。
すべてから解放されるようなこの感覚が好きだった。
着地する瞬間、私は重力を緩和させる術を掛けた。そしてキャンプのテントにダイブ。
それと同時に鳴り響く醜い悲鳴。
おそらく閃光弾が炸裂したのだろう。
私がテントを潰したのにかまっている余裕はない。
目が見えないのだ、みんな両手で目を押さえながらもだえている。
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