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彼は武器を抜き事なく、彼らを挑発した。
怒号が響き渡る。
彼にとってみれば負け犬の……
「駄犬どもめ」
先ほどと同じように呪を唱える。
水の弾が三つ生まれた。
「魔術師!?」
「気づくのが遅い、来世で精進するんだな」
彼が手を振る。
結果は……三つの悲鳴が轟くだけだった。
どうやら、今日も彼を沸かせるほどの相手はいないようだった。
そんなときだった。
三下とは比べものにならない気配が感じられた。
「おぉ?」
期待を胸に、彼は振り返るが……一瞬で嘆息した。
それはすでにサーシャの獲物になっていたからだ。
「身なりからすると、あいつがボスか?」
野盗どもの装備はレザーメイルが大半だった。しかし、サーシャがゆっくりと対峙している男が着込んでいるのはプレートメイルに見える。さらに体格も熊のようだ。
大方、どこかで強奪したのを着ているのだろう。
作りが騎士用のものだ。正規のルートなら出回ることもないだろう。
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