一体目 それが彼女だ

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 彼は武器を抜き事なく、彼らを挑発した。  怒号が響き渡る。  彼にとってみれば負け犬の…… 「駄犬どもめ」  先ほどと同じように呪を唱える。  水の弾が三つ生まれた。 「魔術師!?」 「気づくのが遅い、来世で精進するんだな」  彼が手を振る。  結果は……三つの悲鳴が轟くだけだった。  どうやら、今日も彼を沸かせるほどの相手はいないようだった。  そんなときだった。  三下とは比べものにならない気配が感じられた。 「おぉ?」  期待を胸に、彼は振り返るが……一瞬で嘆息した。  それはすでにサーシャの獲物になっていたからだ。 「身なりからすると、あいつがボスか?」  野盗どもの装備はレザーメイルが大半だった。しかし、サーシャがゆっくりと対峙している男が着込んでいるのはプレートメイルに見える。さらに体格も熊のようだ。  大方、どこかで強奪したのを着ているのだろう。  作りが騎士用のものだ。正規のルートなら出回ることもないだろう。
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