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「先方の面接官の方の出張が急遽取りやめになったらしくて、できれば、と言うことなんですが」
「わかりました」
詳しい情報はメールで送ります、と言うと、谷原はすぐに電話を切った。
電話を切ってから慌てて支度をする。
4時前には家を出たい。バタバタと急いで着替えて化粧をしてから会社に向かった。
京香が会場に着いた時には、すでに3人ほどの応募者が部屋の外で待っていた。
いずれも30代後半ぐらいだろうか。女は京香一人だけで、なんとなく違和感を感じつつ、案内された椅子に座って順番を待っていた。
やることもなくそのまま待っていたら、不意に結衣のことを思い出した。
確か、彼女も急に最終面接の連絡が来た、って言ってはずだ。
こんな感じだったんだろうか?
こんなに急に呼び出されるのであれば、小さな赤ちゃんのいる結衣は、時間の都合をつけるのは難しいことだろう、と思った。
急だからどうしても都合がつかなくて、仕方なく良太に頼んだと言っていた結衣。
プライドが高く、どことなく京香を見下していた結衣であれば、良太に頼むのは最後の手段だったに違いない。
それでも、どうにかして最終面接に行こうと必死だったのだろうか。
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