572人が本棚に入れています
本棚に追加
これから買い物に出かけるところだという。
店で秋山と合流し、そのまま秋山のマンションに遊びに行った。
結局ずるずると泊まり込んで、京香がマンションに帰ってきたのは翌日の日曜日の夜のことだ。
それも夜中の12時すぎ(日曜日の夜だっていうのに)。
京香が家にたどり着いた時、部屋の中は綺麗に片付いており、テーブルの上には美味しそうなパスタとサラダが用意されてあった……。
一体、急にどうしたのだろう。
この進化の速さはどういうことだ?
京香があれだけ怒鳴ってもキレても、へらへらとどこ吹く風で、さっぱり家のことなどできるようにならなかったというのに。
中嶋とかいう女は良太に何をしたのだろう!?
すでに眠りこけている良太に、京香は問いただすこともできず悶々とする。
***
「はあ? 今、何とおっしゃいました?」
京香は自分の耳を疑った。
頭がフリーズしたようだ。磯貝部長が言ったことが飲み込めない。
月曜日の朝一番、人気のない会議室にこっそり呼ばれたと思ったら、なんでこんなことになってるんだ?
磯貝部長は京香と目を合わせることなく、コホンと小さく咳払いをしてもう一度口早に言った。
「急なんだがね、本日付けで五十嵐くんに辞令が出たんだ。総務部備品課に異動になった」
最初のコメントを投稿しよう!