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ーー私は茶なんていらねーよ。どうせ仕事がないんだから、お前がやれよ!
雑用は女、ってそのアタマ、古すぎるんだよ!
つーか、お茶汲みするために、私はガリガリ勉強して東大行ったわけじゃない!!
怒鳴り声が、体の外に出てこないのがもどかしいぐらいだった。
内田氏には京香の内なる声が届かないのか、さらに毒を吐き続ける。
「女の子が来る、っていうからもう少し期待してたのに。
もうちょっと気を利かせたら?」
ーー「女の子!?」
「気を利かせる!?」
コイツは一体私に何を求めているのか?
京香の怒りは、内田氏のさらなる無神経な発言によってさらに増幅された。
GECは、仮にも一部上場の一流企業である。
コーポレート・ガバナンス体制もしっかりしており、均等法を始め、法令遵守もきちんとしている会社だという評判だった。
それなのに、ここ地下1階は、地上の部署とはまるで別世界で、時代に取り残されたような古いしきたりがまかり通っているようなフロアのようであった。
何が「女性が輝く社会」だ。
理由もわからずにこんな仕打ちをされて、モチベーションをあげて働け、という方が無理な話である。
京香は怒りで卒倒しそうだった。
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