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確かに、さっぱりと清潔で気持ちがよく、酒も料理も美味しい。
それでいて値段も手頃で気取ったところのないこの居酒屋は、ゆっくりと腰を落ち着けて長居したくなるような店だった。
ここなら心配せずに話ができそうだ。
「とりあえず……まあ、かんぱーい」
ジョッキを掲げるものの、お通夜のような乾杯にしかならなかった。
二人とも無言でビールを飲み干す。
ジョッキから口を離すと、何か話さなければならないようで、それが気まずくて京香は無理してビールを煽った。
空腹のところに無理して一気に飲んだせいだろうか、ふーっと顔が熱くなってくる。
早くも少し酔いが回ってきたようだった。
「私、何かしたんでしょうか？」
京香が恐る恐る尋ねると、秋山は黙って首を横に振る。
「何しろいきなりだからなぁ。
オレも事情を探ってみるけど……もう少し時間もらえる？」
「そうですか。拓人さんも何も聞いてないんですね……
磯貝部長も、辞令の話をすると、避けるようにささっと逃げてしまわれて、詳しいことを伺う機会もなかったので」
「そうか……磯貝部長も辞令にはショックを受けていたから、かける言葉も思いつかなかったんじゃないか？」
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