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午前中、半日もあれば終わってしまうような単純な作業。
仕事を覚えるには一日あれば十分であった。
やることがない……
京香を含めて6人の人が待機してやっているのだから、何といってもヒマだ。
隣りの内田氏を始め、みんなぼんやりと座っている。
今日はお茶の時間さえ待ち遠しく感じるぐらいだった。
ぼーっとしているぐらいなら、お茶でも淹れてる方が百倍マシだ。
給料ドロボーとはまさに自分のことではないか、と思いながら、京香は湯のみにお茶を注いだ。
それから退社時間までの長いこと。
やることもなく時間を潰すというのがこれほど苦痛だと京香は思わなかった。
退社時間と同時に職場を出る。
そんなことをしたのは、入社以来初めてであった。
外に出てみるとまだ明るかった。
ケイコを食事に誘おうにもまだまだ働いているに違いない。それどころか、恐らく派遣のエリカですらオフィスで忙しく働いているに違いない。
あんなところ……
一日いるだけでウンザリだ。
一週間いたら鬱になる。
一ヶ月いたら腐ってしまう。
……何とかしなくては。
京香は青ざめつつ、足早にマンションに戻った。
ドアを開けた途端に、「フェエエー」という泣き声が聞こえる。
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