異変

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ま、まさか、また!? 聞き覚えのあるその泣き声に恐る恐るリビングに入っていくと。 やっぱり杏がいた。 良太が、必死で杏をあやしている。 良太は京香を見た途端、顔色を変えた。 「ゴメン! 姉ちゃんにどうしても、って急に頼まれて!!」 「……」 京香は呆然とそこに突っ立ったままだった。 動悸が激しくなる。 口はワナワナとし、手はブルブル震える。 ぐぅっと腹の中からこみ上げてくるものがあった。 マグマが吹き出す。 「ゴメンですめば警察はいらないんだよ!!  何で! 何で、みんな勝手なことばっかするのっっ! 私、何か悪いことしたー!?  ただ、一生懸命働いて、一人、しっかり生きていこうとしてただけじゃない!!    何やっても、どうやってもダメってことなんですか!? 私の何が気に入らないってのよ!!!  結婚できなくて、すみませんでしたねー! そんなにがっかりですか!?    あんなに頑張って働いたのに、リストラ候補ですか!? 私が何したんですかねーー!!  あんなチンケな部署が『いい経験』になる!? バカも休み休み言ってくれよ!  おまけに勝手に赤ちゃん連れ込みですか!? ダメだって、はっきり言ったよね!? それとも、何!? 私は黙って働いて家賃払ってりゃ、それでいいんだ、って!?    どいつもこいつも黙ってりゃいい気になりやがってーー!!  出てけーー! とっとと出て行けーー!!」
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