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同級生の京香にとっても聞き捨てならない話だ。
しかもこれは就職の話である。結婚相手を探しているわけでもないのに。
「年」で引っかかるんかい!?
「まーでもねぇー。仕事は誰にでもできるような簡単な事務だもの。
職場に華を添えるのも仕事、みたいな、男性営業職員のサポートだからさ。
すぐに休んで面倒なシンママなんかよりも、若くて素直な可愛い女の方がそりゃ、社員も喜ぶよねー。
しかも、あの女、結構オッパイでかかったし。つーか、私も杏を産んでなけりゃ負けなかったと思うけど」
「……」
当たり前のように説明する結衣に、京香は言いようのないショックを受けた。
今まさに京香の目の前にいる結衣は、京香からすれば華やかなOLの姿そのものだ。
門前払いされるような「オバサン」にはとても見えない。
男性営業職員のサポート。
要するに、男がやる気が出るように若くて綺麗な女求むってことだ。
一流商社に勤めたことがある、なんて経験なんて誰も求めてないってわけだ。
「それだって、条件的には、思いっきり妥協してるつもりなんだけどねー。
でも、なかなかないチャンスで最終まで行ったからさ。
全然仕事が決まらなくて焦って良太に無理言っちゃって……悪かったわね」
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