異変

32/54
前へ
/401ページ
次へ
同級生の京香にとっても聞き捨てならない話だ。 しかもこれは就職の話である。結婚相手を探しているわけでもないのに。 「年」で引っかかるんかい!? 「まーでもねぇー。仕事は誰にでもできるような簡単な事務だもの。  職場に華を添えるのも仕事、みたいな、男性営業職員のサポートだからさ。  すぐに休んで面倒なシンママなんかよりも、若くて素直な可愛い女の方がそりゃ、社員も喜ぶよねー。  しかも、あの女、結構オッパイでかかったし。つーか、私も杏を産んでなけりゃ負けなかったと思うけど」 「……」 当たり前のように説明する結衣に、京香は言いようのないショックを受けた。 今まさに京香の目の前にいる結衣は、京香からすれば華やかなOLの姿そのものだ。 門前払いされるような「オバサン」にはとても見えない。 男性営業職員のサポート。 要するに、男がやる気が出るように若くて綺麗な女求むってことだ。 一流商社に勤めたことがある、なんて経験なんて誰も求めてないってわけだ。 「それだって、条件的には、思いっきり妥協してるつもりなんだけどねー。  でも、なかなかないチャンスで最終まで行ったからさ。  全然仕事が決まらなくて焦って良太に無理言っちゃって……悪かったわね」
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加