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いない。
リビングやキッチンはもちろん、洗面所にもトイレにも良太の姿は見えなかった。
一度も京香の寝室に入ってきたことはないけど、念のためにそこもチェックし、寝室の押入れも開けてみた。
……やっぱりいない。
「やったーー! ついにアイツが出て行ったーー!!」
京香は思わず両手をあげてバンザイをする。
ものすごい開放感。
ナマケモノのクセして、子犬みたいに目をくりくりさせてやたらしっぽを振ってくる良太。無邪気なクセして時々チクリと刺すようなことを言うイヤーなヤツ。
おまけに秋山のところに行こうとすると悲しそーな目をして京香の罪悪感を煽る。「ホントにそれでいいの?」って訴えかけてくる。
しかもいつの間にかご近所さんと仲良くなっちゃったりしてわけがわからない。
取り扱いのメンドーなこの男が目の前から消えてせいせいした気分でいっぱいだ。
いっそ清々しい。
うん。
スッキリ。
世の人が断捨離にハマるのがわかるな。
……
…………
その夜、良太がひょっこりと「やっぱ京香さんとこにいたいなー」なんて言いながらヘラリと戻ってくるのではないか、とチラと思ったが、予想に反して良太が戻ってくることはなかった。
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