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しばらくは、式の準備で忙しくなることだろう。
日程を急いで決めなくてはならない。
海外赴任が差し迫っているとなるとあまり時間的な余裕もないかもしれない。
一緒に住むのは海外が最初、ってことになるのだろうか。
だとすれば、家具や家電は向こうに行って買ったほうが良いだろう。
思わず目についた書店に立ち寄って、結婚情報の雑誌を手に取る。
流行りのウェディングドレスの特集が載っていたので、気がついた時には買っていた。
「愛され花嫁の運命の一着を探す」
こんな見出しがデカデカと書かれている。
どのドレスも綺麗で、何よりもモデルになっている花嫁姿のどれもこれも美しいこと。
写真のレベルの高さに愕然とした。
ーー私が「愛され花嫁」!? ムリムリムリムリ。 絶対ムリでしょ。
いや、この写真はみんなモデルなわけだし……
一般人にこういうの求めたってちょっと違うでしょ、それは。
京香はエリカの花嫁姿をちらっと想像してみる。
すごく綺麗でいかにも「世界で一番幸せです」ってな顔で微笑むエリカの姿が容易に頭に浮かんだ。
彼我の差に戦慄を憶える。
白塗りたぬきお化けになったらどうしよう、なんて思って、現実になりそうで京香は深くため息をついた。
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