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参列者は自分のウェディングドレス姿を見てどう思うだろうか。
そんなことを考えてますます憂鬱になる。
「自意識過剰ーー」
雑誌を見ながら京香の話を聞くと、ケイコは冷たく言い放った。
ーーそれはそうなんですけどね。
これでも、い、いろいろとプレッシャーがあるわけですよ。
特に、こっち関係のことにはとんと疎い、という自覚がある京香にとって、結婚情報誌に描かれているような「幸福感満載の愛され花嫁」と言うイメージがはっきり言って怖かった。
「にしても、またいろいろと急な話ね。
京香が結婚して会社を辞めるなんてまさに青天の霹靂だわ」
ケイコはしみじみとした声になった。
「本人が一番ビックリだよ」
「まあさ、GECは辞めどきかもしんないからタイミングは良かったのかもねー」
「何、それ、どういう意味?」
「え、ああ、何でもない。
どっちにしても、私ら『イカトウ』女にとっちゃあ、千載一遇のチャンスだよ!
絶対結婚するのよ!! わかった!?
これを逃したら、一生独りよ!!」
思いがけないケイコの迫力に、京香は目を白黒させて「う、うん」と頷くばかりである。
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