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誰にも会わずに、ただ独りで子宮の中のようにぬくぬくと安全に過ごせるところ。
傷つき疲れ果てた京香には外に出て行く力が湧いてこなかった。
外に出て、これ以上傷つくなんてゴメンだ。
ここにいれば少なくともあんな思いはもう二度としなくて済む……
ーー私は十分に頑張ったではないか! これ以上イヤな思いはもうしたくない。
京香は再び目をつぶった。
……
…………
しかし、京香は健康な若い女性。
いくら目をつぶったところでさすがにこれ以上眠ることはできなかった。
布団の中もちょっと飽きてしまってようやく体を起こした。
……二日ぶりだ。
その途端、例の結婚情報誌が目に入る。
ーーバッカみたい! こんな雑誌……私に一番無縁のものじゃない!!
途端に涙があふれ出し、心の中に封印していた感情がこみ上げてくる。
ーー私だって、私だって!
ステキなイケメンとドラマみたいな恋愛をして、幸せになりたかった。
こんな風に愛されドレスを着たかったよーー!
心の奥底ではわかっていた。
ガリガリ勉強して仕事一筋、一人で生きていく、なんて、
男なんかどうでもいい、なんてただの強がりだ。
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