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こんなボロボロの姿をよりにもよって良太に見られるなんて!!
これじゃ、ただのブスじゃなくて最悪のブスだ。
近くにある結婚情報誌が目に入って京香は慌てて隠した。
こんなの、何があったか一目瞭然だ。
散々バカにした良太は、きっといい気味だ、と心の中で冷笑していることであろう。
最悪だ……
その時。
良太は京香をふわりと抱きしめた。
「可哀想に……こんなに泣いて……」
「……」
言葉が見つからない。
涙は止まらなかった。
良太は京香の背中をさすってくれた。
ゆっくりと。
まるで赤ちゃんを触るように丁寧に優しく。
京香は良太に体を預けて、じっと目を閉じていた。
良太の心臓の音が伝わってくる。
トクトクと規則正しいその脈を聞いていると不思議な安心感を感じた。
「……ツラかったね」
「ん、ツラい。すごくツラい……」
素直な気持ちがポロリと漏れた。
ーー何、良太にこんなこと言ってんの、私。
良太なんかに抱きしめられておかしくなってるに違いない。
体を引き離そう、と思うのに、良太の胸は温かくて、リズミカルな胸の鼓動をもっと感じていたくて京香はそのまま良太の腕に包まれていた。
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