京香、絶対絶命

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何だろう、この安心感。 「大丈夫だよ。京香さんがツラくなくなるまでこうしてるから」 「……」 京香はまた泣き出した。涙と鼻水が止まらない。 良太は京香をしっかり抱きしめて顔を京香の頭に埋めた。 「……大丈夫だよ、大丈夫だから」 小さな声で魔法のように何回も囁く。 手はやっぱりゆっくりと京香の背中をさすっていてくれた。 どのくらいそうしていただろうか…… 涙は枯れ果てて、今はただ凪いだ海に漂うような穏やかな気持ちがあるばかりだ。 いきなりルルルと良太のケータイのアラームが鳴った。 「あ! ごめん。行かなくちゃ! ……いい? 大丈夫?」 「うん。平気」 するっと返事をしていた。 それを聞くと良太は来た時と同じようにバタバタと出て行った。 また部屋に静寂が訪れる。 何だったんだろう……今の。 良太、ホントにいたの?  もしかして、夢? 幻?? 会いたくて良太の幻想を見てしまったとか? ふとそんなことを思いついて京香は慌てて首を振った。 良太に会いたいなんてそんなこと、思うはず、ない。 あんな使えないグータラな男。 頭から良太のことを追い出そうと京香は立ち上がった。
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