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話すにつれてエリカの顔が真っ赤になってくる。
京香がすっかり話し終わる頃には、エリカの頭からフーフーと湯気が吹き出ているのが京香にも見えた。
ピィーーーーと今にも笛が鳴りそうだ。
やかんかよ、と突っ込みたくなって思わず笑ってしまった。
「なぁにぃーー! 秋山のヤツーー!! 許せーんーーーー!!!!」
拳を振り上げ息巻いている。
「まあ、ちょっと落ち着きなよ」
「これが落ち着いて聞いてられますか!! やっぱりアタシのセンサーは正しかった。
くぅうー、あの時、それがわかっていれば!!」
いや、そこ!?
「おかしいと思ったんですよねー『そんなこと』なんて流すから。普通、愛する人が他の男と同棲してたらあんな風に軽く流したりしないはずですからね!!」
「いや、同棲じゃなくて同居……」
「だから!! どっちでも同じ、って前も言ったでしょう!」
「はあ、スンマセン」
エリカの迫力に圧倒されて京香は謝るしかできない。
「それにしても秋山のヤツ、迫真ものの演技でしたね。
アカデミー賞もんですよ。
先輩を心配する姿にアタシもすっかり騙されました」
「……だよね、何かさ、辻褄合わないんだよね」
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