東大卒のブスだって愛が欲しいのだ

京香、絶対絶命

ケイコにも簡単に状況報告のメールを送る。
仕事を探していること、自分にふさわしい仕事の口があったら声をかけてくれ、と軽くお願いしておいた。

それから、もう一つ。
エリカが言ったように、秋山が京香に会社を辞めて欲しくて、結婚詐欺まがいのことをしていたとするなら、その理由を突き止めたい。

大体、考えてみれば備品課への異動もかなり不自然だった。
明らかなミスがないのだとすると、仕事が出来なくて飛ばされた？
だけどそれもおかしな話である。
京香は、入社以来ずっと、財務畑でやってきて順調にキャリアを積んでいたのである。
それが今さら「仕事が出来ないから」というのは辻褄が合わない。
そもそも、京香が部署で財務に一番精通していると思う。

なのに飛ばされた先をみれば、厄介払いの左遷だ、というのは明らかだ。

ーー「厄介払い」？　
　　業務に一番精通している私が？　何で？
　　秋山補佐は私に知られて困るようなことでもあったのかしらん？

カチッ。

頭の中でクリックする音がした。

数字を見るたびに何となく感じていた奇妙な違和感。
ここ数ヶ月、特にぞわぞわする感じがどんどん大きくなっていた。