京香、絶対絶命

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忙しいだろうに、いつも笑顔でデータの入力を代わってくれていた秋山。 そんなのは京香にやらせるような仕事じゃない、と言って。 京香が過去の売り上げや粗利のデータを詳しく分析しようとすると、秋山は、問い合わせておくよ、と言って、気がつけばいつも資料を持っていってしまっていた。 親切に業務を手助けしてくれているものだとばかり思っていたが、 もし……私に知られたくないために取り上げていたのだとしたら? エレクトロニクス事業部には何か秘密がある……? エレクトロニクスの桑原課長代理はいつも「京香」に数字を入れさせようとしていた。 京香に対する嫌味だとばかり思っていたが、もしも、他の意図があったのなら。 もし……課長代理が「京香」に何か伝えようとしていたのだとしたら……? 元、エレクトロニクスの営業企画にいたエリート幹部候補生などに、ではなく。 むしろエリート幹部候補生に気づかれないように。 桑原とのやり取りを思い出す。 秋山の名まえを出した途端に、大丈夫だと言い出した桑原。 京香は、桑原は秋山に頭が上がらないのだとばかり思っていたが、秋山に内緒にしておきたい何かがあったのだとしたら……? 京香はあまりのことに体がぶるぶる震えた。 自分に言い聞かせる。 慌てるな。とにかく落ち着け。 時間は十分にある。 よく考えて正しい結論を導き出せ……
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