言うは易し、と言うけれど

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幸いなことに、京香は身一つですぐに飛び出すことができたが、そういうわけにいかない人たちだって世の中にはいることだろう。 面接を受ける身であれば、事情を話して日程を変えてもらうことも言い出しにくい。 ぐずぐずしている間に他の人に決まってしまうかもしれないのだ。 ーーちょっと言いすぎたかな…… 面接にこぎつけるまでの大変さを思うと、結衣に同情的になってしまう自分がいた。 「五十嵐さん、中へどうぞ」 不意にドアの向こうから呼ばれた。 京香は緊張した面持ちで中に入る。 ようやくこぎつけた面接。何とか成功させたい。 京香は武者震いをして、コホンと小さく咳払いをした。 が、しかし。 面接官は京香を見た途端になんとも言えないがっかりした顔つきになった。 「アンタが五十嵐京香さん?」 「はい」 面接官はふーっとため息をつく。 「28の女が来るっていうから……もうちょっとマシなのを期待してたんだけどなー。  こんな仕事の面接だろ? オジサンばっかで正直むさ苦しいんだよ。  たまには若くて綺麗な女の顔を拝みたいと思ったのに。  なぁ?」 最後は横の面接官補佐に同意を求めるように呟いた。 面接官補佐はあいまいな苦笑いを見せる。
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