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「若いコ、しかも良く見たら女が応募してる、っていうんでね、まあ、どんなもんだろう、と思って呼んでみたんだが……期待はずれだったかな」
ハハと嬉しそうに笑う面接官に、京香は殺意が湧いた。
ーーアホちゃうか。
ホステスの面接か何かと勘違いしとるんじゃないか、このオヤジは!
経理の面接に何を期待してるんじゃ!
「それにしても、アンタ、わかってんの?
ウチが求めてるのは、ただの会計事務じゃなくて、マネージャーレベルの責任ある業務ができる人材なんだよ?
仕事がきついでーす、やめまーす、なんてのじゃ困るんだよ?」
「もちろんです」
「口では何とでも言えるけどな」
面接官はフンと鼻を鳴らして続ける。
「女はいざとなると、すぐ辞めちゃうからなー。アンタ、結婚する予定とかないの?」
「ありません。あったとしても辞める予定はありませんから」
「まあ、そうでしょうねェ」
面接官は、上から下まで舐めるように京香を見つめると下卑たような笑いを漏らした。隣りにいる面接官補佐も媚びるように口元を歪ませる。
「それにしても、アンタ、東大なんだね、どうりで……」
ーーいけてないって!?
悪かったね、「イカトウ」で!! 顔で仕事すんのかい!? カラダで仕事すんのかい!? え、違うだろーが!!
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