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屈辱的な発言の連投に、京香の手はぶるぶると震えていた。
「ま、東大出てGECに勤めてて、自信あんのかもしんないけど、ウチで求めてるのは、会計業務に精通して銀行ともかなり厳しいやり取りができるような人なんだよ。
学歴だけはすごいからって甘く見てもらっちゃ困るんだよね。
学歴なんて社会に出ちゃうと関係ないしね。特に、東大卒の女なんてプライドばっかり高くてゲンナリするよ。
アンタもそう? イヤなヤツがいたってニコニコ笑わなくちゃいけないんだけどできる?」
いかにもバカにしたような言い方だった。
「もちろんです」
今、ニコニコできているだろうか?
京香は答えながら自分の表情が気になった。
もしかして、これが「イヤなヤツの前でニコニコできるかどうか」を試しているならば、これ以上ないぐらいぴったりの試験だった。
「じゃ、やってみて」
面接官はにやにやしている。
「やってみて……とおっしゃいますと?」
「だーかーらー、オレを取引先の銀行の部長かなんかだと思って融資のお願いしてみてよ?」
「……是非、融資の方、ご協力頂けないでしょうか?」
「何、その投げやりな言い方。もう少し愛想よくできないの? ちょっとこっちにおいで」
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