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「御社では、いつも融資をお願いしなければならないのですか?」
「は? 融資を頼むのは当たり前だろう、何を言ってるんだ?」
「いえ、御社は、このようなご時世、業績も右肩上がりの急成長されている会社だと思っていたものですから」
「そ、そうだが、だから何だ?」
京香はすぅと深呼吸をする。
足ががくがくと震えがくるのを必死で抑えて、はっきりとした声を張り上げるのに集中した。
「そのような企業であれば、銀行さんの方から、是非お付き合いさせてくれ、と言ってくるのではないですか?
銀行さんだって有望な貸し手を探すのに苦労するご時世ですよ。なのに、御社では若い女性を色仕掛けに使わないと融資が引き出せない? 可愛くない女だったら融資をしてもらうのは無理だと思っていらっしゃる?
一体、どんな経営企画書を銀行さんに出しているんでしょうかね。
ああ、御社の面接官が選りすぐった素晴らしい社員が書かれた企画書ですか。それを持って行っても、可愛い女の媚びがなけりゃ融資してもらえない?
失礼ですが、ロクな企画書もだせないような社員しかいないのでは、相当危ないんじゃないですか御社は。
銀行さんも融資を渋るような会社ですと、この先いつ潰れてもおかしくないですので、残念ですが、御社はお断りさせていただきます。
では、失礼します」
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