言うは易し、と言うけれど

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「どうもこうも向こうの面接官が失礼すぎたんですよ。  パワハラにセクハラのオンパレード」 事情を話すと、男は呆れたように言った。 「五十嵐さん、圧迫面接、って知ってますよね?  わざと意地の悪いことを言って反応を見てるんですから、相手の土俵に乗ったらダメじゃないですか!!」 「悪いですけど、圧迫面接なんかする企業の気が知れませんね。  面接で普段のうっぷんを晴らしているだけじゃないですか」 「だとしても! そんなに文句ばっかり言ってると仕事、見つかりませんよ!?  ただでさえ、五十嵐さんの要望を叶えるのは難しいんですから!」 「高望みだというわけですか?」 「まあ、はっきり言えば。  厳しいことを言うようですが、東大を出て、一流企業に勤めてたからって、企業の欲しがる人材、っていうわけじゃないんですよ。  ましてや、課が変わって気に入らないから即座に辞めた、なんていう人はそれだけで敬遠されます。もう少し、現実を見てください」 ……返す言葉がなかった。 今まで順調に来ていたのがウソのように何もかもがうまくいかない。 何が悪かったのだろう? どこでつまずいたのだろう?
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