言うは易し、と言うけれど

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「うわー! やったぁ!! ありがとう!  ボク、もっと頑張るよー! 中嶋さんも応援してくれてるし!」 ーーな、中嶋!? 今、中嶋って言った?   例の女か!!   よ、よくもまあぬけぬけと……!! 京香は途端に不機嫌な顔になる。 「……目当てはそっちかよー。   都合のいい寄生先を探してるなら、悪いけど他に行ってくれない?  私、今失業しちゃってるから、アンタを養えないし」 「へ? 失業?」 「そう。だから、ここだっていつまで住めるかわかんないし」 言ってしまってから、良太があっさりと「じゃあ出て行くよ」って言い出すのではないかとヒヤリとする。 稼ぎのない京香なんて、良太にとって何の価値もないに違いなかった。 「価値がない」 その言葉が胸に突き刺さる。 収入のないブスなんて、良太にとってでさえ存在価値がないのか? ところが、良太は目を丸くして京香に聞いた。 「なんで仕事辞めたの? 京香さん、あんなに頑張って仕事してたのに」 「それがねー、いろいろ事情があって、クビよ、クビ。いや、一応自分で辞めたことになるのか」 「ひどくない? それ、絶対アイツのせいでしょ!? ボクにはちゃんとわかってるよ! だから、あんなヤツと付き合うな、って言ったのにー!!  結局京香さんを利用しただけじゃないの!? やっぱり、そういうヤツだったんだ。 サイテーだ!」
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