華麗なる復讐

2/86
前へ
/401ページ
次へ
あの面接以降、谷原からはぱったりと連絡が途絶えていた。 他の就職サイトなどにもどんどん登録して、仕事を探しているが、厳しいのは相変わらずだ。 パソコンで求人案内を見ていた京香は、隣の良太に向かってうんざりしたような声をあげた。 「……もう、片っ端らから受けよっかなー。  いろいろ希望を言ってる場合じゃない気がする。  ほら、これなんかどうだろう、『財務スタッフ募集:第二新卒でも応募できます。やる気のある初心者、大歓迎!』ってさ」 「良さそうだねぇ! ボクも応募しよっかなー」 「……」 「なんちゃってねー」 良太は自分で突っ込んではははーと機嫌よくにこにこしているが、京香は無邪気に笑うなんてとても無理だ。 結局、良太でも応募できるような仕事にしかつけないのだろうか、と不安になってくる。 「アンタってさー、こだわりとか働きがい、とか、ないわけ?」 「ないよー。 だって、ボク、働くの、好きじゃないもん」 「……」 「でもさ、僕と違ってさー、京香さんはマジで仕事してるんだから、自分がやりたい仕事にこだわるべきだと思うよ。  まあ、ボクの稼ぎはしょぼいからアレだけど、もうしばらく粘ってもいいんじゃない?」
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加