華麗なる復讐

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どこか結衣に同情する余裕があった。 「そうかもね。  でも、良太を都合よく使うアンタに言われたくないわ。じゃ、明日8時ね」 電話を切った。 目の前で、良太が目をうるうるさせている。 「京香さーーん! ありがとう!!」 抱きつかんばかりにじゃれついてくる。 ーーもう! ホント、犬かい!! 「わ、わかった、わかった。わかったから落ち着いて!」 「よーーし。明日も頑張って働くよー!!」 さながらご主人様に尽くす忠犬ハチ公のようだ。 次の日、良太が張り切ってバイトに向かい、その後、京香が転職サイトで会社のリサーチや履歴書の作成、送付などをしていると、8時きっかりに結衣はやってきた。 ベビーカーに乗った杏はご機嫌だった。 結衣は、必要な荷物と簡単な説明をして、昼の1時ぐらいにはお迎えに来る、と言って去って行った。 京香はしっかりと現金を受け取った。 それに、 「1時をすぎたら、10分ごとに超過料金500円とるからね」 と釘を刺して結衣を呆れさせた。 床の上に下ろすと、早速杏はその辺を這いずり回る。 まだ、歩けないものの、何か捕まるものがあると、立ち上がって手を伸ばすので、片時も目が離せなかった。
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