華麗なる復讐

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リビングのコーヒーテーブルに出しっぱなしのコップを掴み取ろうとする。 「うわぁ! 杏ちゃん、ストップ!! 危ない! それ取っちゃダメ!」 すんでところで杏を抱きかかえる。 何がおかしいのか、杏はケラケラと笑った。 ほっと一息ついて杏を下に下ろして、コップをキッチンに持って行く。 そのままシンクの洗い物をしていると、やけに静かになったので、ひょっと杏の方を向いたら、杏は一心不乱にティッシュを箱から全部抜き出していた。 「わあぁー、やられたー!!」 慌ててその辺に散らばっているティッシュをかき集める。 急に目の前からティッシュの箱がなくなって、杏はふぇーんと力いっぱい泣き出した。 「あああ、ごめんごめんごめん! 杏ちゃん、泣かないでーー!  いい子だから泣くのやめようーー?」 「泣くのやめようーー?」と言って赤ん坊が泣き止むなら世話ないわけで、杏はさらに大声で泣き続けた。 ーーええ……っと、どうやったら赤ちゃんって泣き止むんだ? オロオロしながらネットに助けを求めた。 「赤ちゃんをあやす」とあるが、「あやす」って具体的に何をすればいいんだ? それからも目の前のちっちゃな物体はおよそ京香の思い通りにならず、杏に振り回されっぱなしだった。
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