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京香は、今朝、こざっぱりと身支度を整えて現れた結衣のこと考えていた。
一体全体、こんな物体を抱えて、どうやって毎日暮らしているんだろう?
どうしてあんなに綺麗な格好できるの?
その上、就職活動に面接……?
自分は、すっごい努力をしていると思っていたのだけど……
ーー私だけじゃないんだ。
結衣だって、多分いっぱいいっぱいのところで足を踏ん張って頑張ってるのかも……
いきなりゴトンという恐ろしげな音がする。
振り返ってみると、杏がニッコニコして棚の上にある小型のスピーカーを床の上に落としていた。
あと5センチずれてたら……
京香はぞっとする。
杏は、京香に考え事をする時間さえくれないようだった。
へとへとになったお昼12時を過ぎたころーー
良太がマンションに戻ってきた。
「京香さんーー大丈夫?」
どうも心配で様子を見に来てくれたらしい。
「な、何とか」
返事をすることはできたものの、杏を抱っこしっぱなしで京香はすっかりよれよれだ。
「良太は? バイト、終わったの?」
「あー……お昼の休憩1時間もらったから様子見に来たのー。
ほら、ボクが抱っこするよー。それに、はい、差し入れ」
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