華麗なる復讐

11/86
前へ
/401ページ
次へ
「うん。片付け手伝ってくれてありがと」 こんな言葉がすっと出てきたのが不思議だ。 心が軽い。 素直にお礼を言える自分が嬉しい。 「どうだったの、面接は」 片付けをしながら、京香は結衣に聞いてみた。 今となっては、結衣の話は他人事ではない。 結衣は、暗い顔で首を横に振る。 「どんな仕事探してるの?」 「とりあえず正社員の事務職ならなんでもいい」 「それって、一番見つけにくいヤツじゃん。  大体さ、人手不足ってったって、足りてないのは不正規ばっかだし、事務職なんて仕事自体どんどん減ってるんじゃない?  しかも給料安いし、あがらないし。仕事が見つかったとしても、先々は結構心配かもよーー」 これは、京香が就職活動をしていての実感でもある。 京香の場合は、会計関係のキャリアがあるので、それでも何とかなりそうだが、正社員の一般事務となると、かなりの狭き門だ。 「だけどさー、じゃなかったら店の店員とかになっちゃうよ。  ブラックすぎるでしょ、子ども抱えてだと厳しい……」 「確かに…… でも、アンタに事務職ってピンと来ないんだけど」 「何が?」 「うーん、外ヅラはいいし、結構図々しいし、営業とかでバリバリ働く方が案外向いてるんじゃない?」
/401ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加