華麗なる復讐

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「営業ーー?」 「しかも、アンタ、負けず嫌いだから歩合制とか超ーー向いてそう。  それに、まあ、び、美人だし」 はっきりと認めるのは悔しいが、やはり世間は美人の甘言には甘い。 したたかな結衣なら、うまいことやるのではないだろうか。 「……勝手なこと、言っちゃってぇ」 照れたようにぶっきらぼうな返事だった。 結衣も可愛いところがあるではないか。 「アハハ、確かに。 私も人のこととやかく言う立場じゃないしね」 思いがけないほど、健やかな笑いがもれる。 その時、すやすやとねんねしていた杏が起き出したので、結衣は杏を抱き上げる。 愛しそうに娘を抱く結衣の横顔はまさしく母親のそれであった。 バタバタと支度をして帰って行く。 「ま、イロイロ大変だけどさ、私は、後悔はしてないよ」 出て行く時に京香の瞳をまっすぐ見つめて放った結衣の言葉は、京香の心に強く残っていた。 結衣を見送って一息ついていた矢先にケータイが鳴った。 エリカからの電話だ。 仕事を辞めたにも関わらず、良太が戻ってきてから、にわかに周りがバタバタと忙しくなってる気がする。 「五十嵐先輩! 今から先輩のとこに行っていいですかー!? ゆっくり話したいことがあるんですけど!!」 「……んー、別にいいけど、何? 話って」 「実はこの前合コンしたんですけど。あ、やっぱり、長くなりそうなんで今からそっちにいきますから!!  確かこの辺に住んでましたよね。住所教えてください!!」
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