華麗なる復讐

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勢いにつられて住所を言うと、すぐに電話は切れた。 電話の向こうのエリカは相当興奮していた。 一体、何があったんだろう? まあ、エリカの長話、と言ったら、99%恋バナに決まっている。 今度はどんな男を見つけたと言い出すんだろうか。あれこれ想像をめぐらしていたら、間もなくピンポンとチャイムが鳴った。 ずいぶん急いできたようだ。 相当切羽詰まっている? 首を捻りながら、玄関のドアを開けると、転がり込むように駆け込んできた。 「五十嵐センパーイ! アタシ、どうしたらいいんでしょうぅーー!!  今日は、じっくり話を聞いてもらいますからね!!   ほら、焼酎も持ってきましたから。 飲みますよ、先輩!」 エリカは、焼酎片手に叫んでいる。 「わかった、わかった。どうしたの?」 「どうしたもこうしたも、この前合コンしたんですよー」 「で、相手は医者? 弁護士? それとも外資系に勤めるエリート?」 「それが……下請けの中小企業なんですよ」 エリカは何とも言えない微妙な表情になった。 困ったような、後悔しているような、かと思えばちょっと泣きそうにも見える。 「ふーん、じゃあ玉の輿は難しいんじゃないの?」
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