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「社会人失格」の烙印を押されているようでたまらなかった。
その日も、朝一番、パソコンを立ち上げてメールを開けば、お約束のように不採用の通知。
気を取り直して次!と思うようにしても、なかなか気持ちがついていかない。
「ああ……このまま仕事も見つからず、食べるものもなくなって餓死したらどうしよう……」
ぼそりと呟いた声が良太の耳に入ったようだった。
「何とかなるよ。そんな焦んなくても大丈夫っしょー?」
焦るでしょ、この場合。
しっかり食べていけるだけのキチンとした仕事を見つけることに全く無頓着な良太ののんびりぶりにはさすがの京香もイライラする。
「何、言ってんの。
このまま仕事が見つからなくて貯金が底をついたら、ここにだって住めなくなるし」
「そうなったら、生活保護受けよ?」
ーーい、いやだよ!
生活保護なんて、京香のプライドが許さない。
だらだら怠けて何もしないグータラ者だと思われるなんてまっぴらだ。
「何、言ってるのよ! そんな社会の迷惑になんてなりたくないよ。
第一、みっともないよ」
「迷惑? みっともない? どうしてそんな風に思うのさ。
京香さんは一生懸命頑張ってるじゃないか。
それでもうまくいかないんだったら、ちょっとぐらい誰かに助けてもらったっていいんじゃない?
人生なんていつでも思い通りに行くわけじゃないんだからさ」
「……」
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