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「見て……水滴が溢れてるよね?」
「あー、本当だー」
感心したようなのん気な返事。
ーー感心してる場合じゃないんだけど。
「ぼーっとしてないで、流しでふきん洗って絞ってくれる?」
「あっ! そうか」
良太は慌てて流しへふきんを持っていった。
ーーったく。
……気が利かなくて世話が焼けるところは相変わらずだなー。
京香は呆れながら良太について行く。
「どうしたの、京香さん、今日はホントに変だよ?」
また、良太が京香をまじまじと見つめて言った。
「え? 何が?」
「何か、嬉しそうににこにこ笑ってるよ? いいことあった?」
「え?? 私、笑ってる?」
「うん。にこにこしてる!
いっつもそんな風に笑ってくれたらいいのにーーすごく可愛い!」
ーーえ!?
「な、何、言ってんのよ!」
「あ、赤くなってる。可愛いなァ」
「い、いい加減にしてよねぇ! い、いくら私だって、トウのたったブスだってことぐらいわかってるんだから、そんな見え透いた嘘、つかなくたっていいよ」
良太はプッと吹き出した。
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