華麗なる復讐

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事業内容などが記載されている資料に目を通す。 吹けば飛ぶような小さな会社のようだった。 話を聞けば、社長(取締役)の佐々木を含め、社員は7人。 品川のオフィスビルの一角を借りて仕事をしているのだ、と言う。 ただ、どんな小さな会社でも、社内管理のためのシステム構築はもちろんのこと、顧客対策や時には人事のことまで考える徹底的なきめこまかさが評判を呼んで、業績は順調に伸びているらしかった。 「実は、財務の専門家がいなくてですね。  そちら方面の業務を含むような案件が増えているものですから、きちんと人を入れて体制を強化しよう、ということになりまして。  お話を伺ったところ、五十嵐さんが求めていた人材にピッタリでして」 「いい話じゃない?」 ケイコも口を添えた。 確かに、極小とはいえ、伸び盛りの会社で、京香の得意分野を活かせるというのなら、十分に検討の余地はあるように思えた。 「ただ……我が社は、GECさんに比べれば、極小も極小、小さな会社ですから、満足のいく報酬をご提示できかねまして……」 提示された金額を見ると、以前よりも大分低い。 7人しかいない、とはいえ、ただの財務担当、という肩書きもちょっとガッカリする条件だった。
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