華麗なる復讐

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「日本市場しか見てない企業は間違いなく潰れます。  世界の動きと最先端の技術、知見を生かせない会社に未来はありません。これは、企業の規模にかかわらず、です。  中小さんですと、大手のコンサルティング・ファームだの会計事務所だのを別に雇う体力もありません。  しかし、親身になって相談できる相手を求めてるんですよ。  新たな人事制度や事業戦略も見据えて、ウチがまとめてご相談にのることで、さらにクライアントが飛躍できれば、と思ってるんです」 と、佐々木は熱弁していた。 なかなか面白そうな会社ではあるが…… 「あれ?   難しい顔してどうしちゃったの、京香さん」 バイトから帰ってきた良太が京香に声をかけた。 手にはまたコンビニ弁当だ。 どうも、お金を節約しなくっちゃ、と思っているらしい良太は、なんのかんのと店長をうまく言いくるめて(?)ちゃっかり食べ物をせしめてくる。 稼ぎは少ない(あるいは働かない)良太であるが、何かにつけておまけをもらったり、お相伴にあずかったりしてくる妙な才覚があった。 まあ、あのにこにこ顔で、しっぽを振りまいていたら、京香でなくてもうっかり餌をまいてしまうのかもしれない。
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