華麗なる復讐

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栄養の偏りが大いに気になるところだけれど、そういうことも言ってられない逼迫した状況なので、一食でも食費が浮くのなら、大歓迎だ。 京香はもらった弁当の蓋を開けながら良太に説明した。 「んーーさっき、仕事の話をもらったんだけど」 「ええーーすごいじゃん、それってもしかしてヘッドハンティングってヤツ?  さすがだなーー京香さん」 良太はどうも「仕事のできるバリバリキャリウーマン・京香」にとんでもない幻想を抱いているようだ。 「いやいやいやいや。  ヘッドハンティングっていうより、むしろ兵員増強!って感じなんだけど」 「でも、すごいじゃん」 「んーー……そうなんだけどね」 京香は割り箸をパチンと勢いよく割りながらため息をついた。 「何が気に入らないの? 仕事?」 「いや、多分、仕事自体は面白いと思う。 今までの経験も活かせるし」 「じゃ、何?」 「んーー、ちっさな会社で潰れるんじゃないか、ってのと、給料がねー……低いのよ、すごく」 「なんだぁ、そんなこと。  だったら、給料上げてもらうよう頼んでみればいいじゃん!」 明るい声で無邪気な提案をする。 世間知らずな良太は怖いもの知らずだ。 「そんなこと、雇ってくれるだけでありがたいのに……」
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